助成金を受給するための基本知識 ~就業規則への規定~

経営者の方、もしくは人事担当者の方なら、「申請すれば、助成金●●万円がすぐに貰えます」といった綴ったファックスDMなどを一度は見たことがあるかもしれません。

確かに、チョッと前までは、条件が整えば比較的簡単に
受給できる助成金があったのも事実です。

しかし、最近の傾向は変わり、
そう簡単には受給できなくなってきました。

なぜならば、最近の助成金には、
「正社員への転換制度」
「キャリアコンサルティングの制度」
「賃金制度・評価制度」といったように、
企業に対して“制度の導入”を求めるもの
が多くなってきたからです。

助成金において“制度の導入”とは、
就業規則に規定をして労働基準監督署に届出をする、
そして社員にそれを周知することを意味しています。

就業規則に規定をして労働基準監督署に届出をするということは、
その内容が社員の労働条件になるということです。

つまり、会社が社員に対してその制度を利用する
権利を与えることになります。

別の言い方をすれば、
いったん導入した制度は、
会社の一方的な都合で変更・廃止をすることは
できないということなのです。

たとえば、定年を60歳から65歳に引き上げて
「65歳超雇用推進助成金」を受給したとします。

その後2〜3年経ってから、
定年年齢を変更前の60歳に戻すということはできません
(いわゆる労働条件の不利益変更になります)。

なぜならば、就業規則を変更して
“制度の導入”をするということは、
会社が将来にわたってその制度を維持・継続することが
前提になっているからです。

したがって、「助成金が受給できるから」といって
安易に制度を導入することは
非常に危険な行為なのです。

このように、助成金を受給するために
制度の導入(就業規則への規定)をするにあたっては、
会社や社員にとってメリットがある一方で、
必ずデメリットもあります。

就業規則に規定をして届出をするということは、
労働条件を変更するという法律行為になりますので、
十分に検討をしてから行っていただきたいと思います。

なお、助成金を申請する際には添付書類として、
制度導入前後の就業規則を両方提出することになります。

その時には制度導入前(変更前)の就業規則が
最新の法令に適合していることがポイントになりますので、
併せてご確認をいただきたいと思います。

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